タブレット時代の子どもたちの創造力と情報活用

lapis

近年、学校現場ではタブレットを活用した学習が進んでいます。
私が関わっている学校では、子どもたちが授業で調べものをする際、タブレットを使う姿は当たり前になっています。

しかし、子どもたちの様子を見ていて、少し気になる点が。
それは、タブレットで調べた情報を、そのまま使用してしまう傾向が見られることです。
例えば、図工で使う絵の構図や動物、キャラクター、提出プリントに必要なイラストを、インターネット上の画像をそのまま模写して使う子が多いのです。

一方で私が子どもの頃は、タブレットはもちろん、調べるための道具も限られていました。
授業中は教科書、ノート、文房具以外は机の上に出してはいけなかったので、記憶を頼りに自分なりに考え、想像し、表現する機会が多かったように思います。こうした経験が、創造力や独自の発想力を育んでいたのかもしれません。

なぜ現代の子どもたちは、インターネットの情報をそのまま使ってしまうのか考えてみました。

1. 間違いを恐れる心理

現代の教育環境では、正解を求められる場面が多く、子どもたちは「間違えること=悪いこと」と思うのではないでしょうか。
弊社でSTEAM教育の授業を行うとき、冒頭で「間違ってもいい」「何を言ってもいい」と伝えます。すると「間違ってもいいの?」「自由に発言していいの?」と子どもたちが大喜びする姿を目にします。
子どもたちには、確実に正しいもの、評価されやすいものを選ぼうとする心理が働いているのではないでしょうか。検索で簡単に見つけられる画像を模写すれば、失敗を避けられると考えているのかもしれません。

2.情報活用の変化

情報が手軽に得られる環境が整ったことで、自分で試行錯誤するよりも、すでにあるものを利用することが効率的だと考える子どもが増えているのかもしれません。これは学習効率の向上という面ではメリットがありますが、同時に「考える力」や「試行錯誤する経験」を減らしてしまう可能性もあります。

3. 創造力の新しい形

情報活用の形が変わっただけで、インターネットの情報を組み合わせたり、加工したりすることで、新しい表現を生み出す力が育まれる可能性も否めません。実際、デジタルツールを活用した創作活動が盛んになっています。

これからの時代、単に「検索してそのまま使う」ことから、一歩進んで「情報を活用し、自分なりの創造につなげる力」を育むことが重要になります。
そのために、次のようなアプローチが求められるのではないでしょうか。

①「間違いや失敗を恐れない」文化を育てる 
学校や家庭で、失敗を前向きに捉え、試行錯誤することの価値を伝える。

②「自分なりの解釈や表現」を促す 
検索した画像をそのまま使うのではなく、アレンジを加えたり、複数の情報を組み合わせたりする指導を行う。

③デジタルツールの適切な活用方法を学ぶ 
単なるコピー&ペーストではなく、情報の取捨選択や活用方法を考える力を身につける。

テクノロジーが進化し、情報が身近になった現代だからこそ、創造力を伸ばす学びの工夫が必要です。私たち大人も、デジタル時代の子どもたちの成長を支えるために、どのような環境を整えるべきかを考えていかなくてはなりませんね。

(担当:Chevalier)

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